『たけだみりこの極楽ゴハン』の“フルーティポーク”を再現!

 これまでジャムは、「千何年かぐらいにヨーロッパのどこかで発明されたのでは?」という想像を勝手にしていたのですが、最近有史以前から既に存在していたらしい事を知り、驚きました;。
 とはいっても、旧石器時代の人々は砂糖ではなく、どうやら蜂蜜で甘味をつけて煮て保存性を高めていたようで、その原始的なジャムも一度試したいな~と思いました。

 どうも、イブの夜は知人らと某店で食べ放題&飲み放題のコースを選んで盛大に飲み食いをしてきた管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『たけだみりこの極楽ゴハン』にてかまどの神様がある気の毒な青年に教えた“フルーティポーク”です!
フルーティポーク図
 それは、クリスマス・イブの夜の事。
 どこもかしこもクリスマスモードで浮かれている街を、空飛ぶお鍋に乗りながら興味深そうに眺めていたかまどの神様でしたが、ある道に差し掛かった時、見るからに興奮しながら走っている若い男性を目撃します(←残念ながら名前不詳ですので、走る=かけるさんと呼ぶ事にします)。
 あまりにも周りが見えていない様子だった為、ちょっとイタズラ心が騒いだかまどの神様は「メリークリスマス!」と言いながら出会い頭に飛び出してかけるさんをびっくりさせるのですが、その瞬間不幸な事にかけるさんはクリスマスケーキを落としてベシャッと潰してしまい、「うわぁ…ぐちゃぐちゃだ…二人のスイートクリスマスケーキが…縁起でもない…」と絶望して泣き出していました;←クリスマスケーキは大きいものだと最低四千円以上はして結構値が張りますので、それを台無しにされたら泣きたくなる気持ちも分かりますorz)。
 実は今かけるさんには、まだ単なる友人同士なものの近い将来には恋人にしたいと願う女友達がいるのですが、どういう訳か部屋に遊びに行きたいという電話が唐突にかかって来たらしく、「クリスマスの夜に二人きり→いい雰囲気になる→友達から一気に恋人へと昇格、記念すべきスイートナイトに…!」というやや飛躍した期待を抱いて大きなクリスマスケーキと赤ワインを奮発して購入していたとの事で、それを聞いたかまどの神様はさすがに「ス、スマン、ワシはただおぬしがあまりにも気負っていたから、ちょっとほぐしてやろうと思ってな;」と責任を感じて謝罪していました。
 正直、かけるさんの怒りはごもっともなのですが、前のコマに載っていたかけるさんの表情はかなりギラギラ&ニヤニヤしていてうまくいくものもいかなさそうな状態でしたので、かまどの神様が「ほれ、リラックスリラックス」と老婆心で声をかけたくなったのも分かる気がします(^^;)。
 しかし、それでは収まらないかけるさんから猛然と責められてほとほと弱ったかまどの神様は、「わかったわかった、何とかしよう」とクリスマス向けのロマンチックなメニューを教えにかけるさんの部屋へ向かいます。
せっかく買ったクリスマスケーキをグチャグチャにされ、不吉な予感に震えていました;
 その際、かまどの神様がかけるさんに調理器具が不十分でもすぐに作れる料理として教えた中の一つが、この“フルーティポーク”です!
 作り方はそこそこお手軽で、塩・こしょう・各種ハーブをすり込んだ豚ヒレ肉の塊をオーブントースターに入れてじっくり火を通した後、上からジャム・コーンスターチ・ワインを熱して作ったソースをかけて再度こんがり焼き、最後に残しておいたソースを切った豚ヒレ肉の上にかけたら出来上がりです。
 ポイントは、オーブントースターでも火を通せるギリギリのサイズで細くカットされた豚ヒレ肉を用意する事(200g前後の大きさなら、アルミホイルで焦げを防ぎつつ中心まで無理なく焼けるのだとか)、ジャムは甘さ控えめで果実の形が残っているタイプの物を使う事の二つだと作中で語られていました。
 かまどの神様曰く、「ローストポークは中までしっかり焼くので、ローストビーフのように微妙な仕上がりを気にせず誰にでも気軽に焼ける」「オーブントースターは熱源が近いせいか、カリッとした焼き上がりになる。大きい肉はムリだけどな」「カリッと焼けた肉に、甘酸っぱいソースが実によくマッチじゃ」だそうで、一人暮らしの男性が初めて挑戦するのにうってつけな初心者向けメニューという印象を受けました。
 そこまで手間がかからない割には一見レストラン風の出来栄えになるのも嬉しいところで、出来る事ならこれに茹でたブロッコリーやじゃがいもに塩こしょうとバターを和えて準備したホットサラダも添えたらほぼ完璧なクリスマスディナーになると、かまどの神様はアドバイスしていました。

 また、ローストポークのWikiを調べた所、「豚肉は牛肉よりも水分含量が多く肉質が緻密でない為、火の通りが早く加熱時の変化が急激である。従って、塊肉を適切な状態で仕上げるためには緩やかに加熱する必要がある」(引用元はこちら)との事で、その点を踏まえますと、急激に温度を上げる事が出来ないオーブントースターは、まさにローストポークを作るのに最適ともいえる調理器具なんだな~と感心したものです。
何と、オーブンがなくてもトースターさえあれば作れてしまうという超お手軽レシピです!簡単に作れる割には、かなり手が込んで見えるのが特徴。ホットサラダも添えれば完璧だそうです
 その後、かまどの神様は崩れて無残な状態になっていたケーキに桃缶や生クリームを組み合わせて作るトライフルのレシピも教えてクリスマスケーキを新しく生まれ変わらせ、かけるさんを「おお、これがあの潰れたケーキだったとは思えないゼ」「ありがとう、神様っ!!何かぐっと雰囲気が盛り上がったゼ、これなら俺たち、きっと友達から恋人へ…」と見事に立ち直らせます(←ちなみにこの時、かけるさんは気が高ぶってかまどの神様の手をガシッと握っているのですが、何故かかまどの神様は頬をポッと染めて照れていた為、「もしや、ソッチの気が…?」と非常にヤキモキさせられました;)。
 タイミングがいい事に、料理が完成した途端に女友達から電話がかかってきましたので「お、彼女だ、駅に着いたかな」とかけるさんはウキウキしながら通話するのですが、残酷な事に彼女から告げられたのは「彼との約束があって来られない」という、読者のこちらまで「今さらそれ(クリスマスパーティー開始直前にドタキャン&本当は彼氏がいる)を言っちゃいますか~!?」と二重の意味で叫びたくなる爆弾発言|||orz||| 。
 案の定、かけるさんは手を震わせながら「か…彼って誰だよ…;」と呆然としながら電話を切っていましたが、かまどの神様が「おっ、なんだ来れないのか?そんじゃワシが付き合ってやってもいいぞ、二人っきりのクリスマス」という虚しさ倍増の発言をしたのを聞いてブワッと号泣していました;。
 ただ、「ほらみろっ、やっぱり縁起悪かったじゃないかーっ!どうしてくれんだ、えーっ?!」とかけるさんはかまどの神様へ八つ当たりしていましたが(←当管理人なら平謝りする所ですが、かまどの神様は「わしゃ知らん」とスルーをしながらトライフルを食べてました;)、考えてみれば自分をキープ扱いした女性との縁が切る事が出来て、むしろ厄払いが出来たのではないか…という予感がしないでもありませんので、一見不幸なようでもかまどの神様は福を運んできてくれたのではないかな?と苦笑したエピソードでした;。
無残なことに、彼と過ごすから来れないという残酷な電話がかかってきていましたorz
 クリスマスは家族と過ごしますので別段ロマンチックにしなくてもいいのですが;、前々からおいしそうだと思っていましたので、これをいい機会と思い再現する事にしました。
 ソースの隠し味にジャムを使う事はあっても、ジャム主体のソースをお肉に使うのは初めてですので、一体どういう味がするのか早速作って確かめようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、ローストポーク作り。豚ヒレの塊肉へ塩とこしょうをすり込んだ後、バジル、セージ、オレガノを全体へまんべんなくまぶしてもみ込みます(←ミックスハーブでもOKです)。
 全体に調味料やハーブがなじんだらクッキングシートを敷いた鉄板(安定感には欠けますが、しっかり持ているならアルミホイルでも可)に置き、上からオリーブ油を縦に一筋垂らして、あらかじめ温めておいたオーブントースターへ入れて約十五分~二十分かけて焼きます。
 なお、今回は少しでもスペシャル感が出せるようにと当管理人は六白黒豚を使用しましたが、スーパーで普通に売られている豚肉を使われても十分美味に仕上がります。
 ※中に火が通っていないのに表面が焦げかけてきた場合は、アルミホイルをかぶせてそのまま焼き続けます。
フルーティポーク1
フルーティポーク2
フルーティポーク3
 その間、次はソース作り。
 小鍋にいちごジャム(←りんご・あんず・ブルーベリー・マーマレード等、他のお好みのジャムで作っても大丈夫です)、コーンスターチ、赤ワインを入れて木べらで混ぜ合わせ、弱火で五~六分かけてこまめにかき混ぜながらコトコト煮込みます。
 なお、使用するジャムは完全なペースト状ではなく、「プリザーブタイプ」という果実の形が残っている種類で、尚且つ「甘さ控えめ」と明記してある物を使うと、美味しさが俄然跳ねあがりますのでお勧めです。
フルーティポーク7
フルーティポーク8
 ここまできたら、いよいよ仕上げ作業。
 お肉の中心に竹串を刺して透明な肉汁が出てきたら大体焼き上がりですので、一旦オーブントースターから取り出して先程のソースを半量かけ、またオーブントースターで五分程度焼きます。
 時間が経ったらすぐに取り出し、少し時間をあけて肉汁が落ち着いてから、よく切れる包丁でやや分厚い一センチ幅の大きさに切り分けます。
 これで、ローストポークは準備完了です。
フルーティポーク4
フルーティポーク5
フルーティポーク6
 このローストポークを、あらかじめクレソンを飾り付けたお皿へ並べながらゆったりと盛り付け、仕上げに上から半量残していたソースをかければ“フルーティポーク”の完成です!
フルーティポーク9
 クレソンの鮮やかな緑色、いちごジャムソースのシックなワインレッド、ローストポークの見るからに香ばしそうなこげ茶色の取り合わせが如何にもクリスマスというイメージで、確かにこれがあるとテーブルの上が華やぎそうです。
 いちごジャムと赤ワインのフルーティーな香りといい、ローストポークの淡いピンク色の断面と言いい、食欲をそそられます。
 正直、パイン入り酢豚に抵抗感があるタイプですのでジャム&ローストポークの組み合わせはちょっぴり不安ですが、たけだみりこ先生と見た目を信じて食べてみようと思います!
フルーティポーク10
 という事で、熱々の内に切り分けていざ実食!
 いっただっきま~っす!
フルーティポーク11


 さて、味の感想ですが…たったあれだけの工程に見合わない程本格的な味わいで、美味し!豚ヒレ肉とも相性ばっちりです!
 肉汁たっぷりでしっとり潤った、きめが細かくて柔らかな肉質の豚ヒレ肉を噛み締めると、各ハーブの濃密な芳香が鼻をスーッと通り抜ける為、優雅な気持ちになります。
 こしょうのスパイシーでドライな辛さに、バジルの澄み切った爽快な香り、オレガノの上品で落ち着く香り、セージの青っぽくて清涼感溢れる香りが複雑に入り交じり、ただ単に焼いただけとは信じられない高級感のある仕上がりが印象的でした。
 例えるとするなら、ペッパーステーキと香草焼きを足して二で割ったような旨さで、カリッと香ばしく焼けた表面と、旨味エキスがギュッと詰まったジューシーな汁気が滴る内側の対比が素晴らしかったです。
 分厚く豪快に切った豚ヒレ肉はざっくりと歯が簡単に通って筋が噛み切れないという事もなく、肉を食べる醍醐味が堪能でき、肉料理にしてはあっさりした後口なのが特徴的でした(←噛むたびにギュッギュッとジューシーな汁が溢れます)。
 最初は「ジャムとお肉か…」と抵抗感がありましたが、実際に食べると果実の形が残った、新鮮ないちご特有の瑞々しいフルーティさがそのまま活きた甘酸っぱいソースは豚ヒレ肉とよく合っており、いちごの種のプチプチ感がいいアクセントになっているのに満足しました。
 甘味が控え目なのでバランスがよく、赤ワインの豊潤な風味のおかげでただ甘いだけではない深みが生まれ、まるで洋風の照り焼きタレとも言うべき癖になる甘じょっぱさが、塩味のお肉とぴったりでした。


 元がジャムですのでフランスパンともばっちり合いますし、赤ワインに至ってはゴールデンコンビといっても差支えない組み合わせです。
 クレソンのほろ苦いシャキシャキ感が次の一口を新鮮なものにしてくれますので、出来ればあった方がいいな~と感じました。
 オーブンを使ってももちろん作れますが、個人的に「トースターでこんな素敵な料理が!」という感動が味わう為にも、是非一度はトースターで挑戦して頂きたいな~と思ったレシピです。


P.S.
 なみさんからご指摘して頂いた明太フランスの発祥に関する件ですが、実は大分前から地元では「明太フランスの発祥店は、福岡県東区にある<国産小麦パン工房 Full Full>だ」という説が有名で、その為記事を書いた当初も「福岡県から生まれたパン」という想いがつよくてそのように表記したのですが、お店の方々があまりその事を主張していない上、結局最近ではどこが先だったか正確には分からないというお話が広まっている為、福岡が正式な発祥元とは断言できない状態です。いい加減な表記をしてしまい、申し訳ございません。ただ、やはり依然として<国産小麦パン工房 Full Full>さんがかなり初期から明太フランスをお出ししているのは確からしく、発祥元が福岡である可能性も依然としてあることから、文章はそのままにさせて頂こうと思っております。また、何か新しい続報が入りましたらその際にご変更させて頂きますので、よろしくお願い致します。

●出典)『たけだみりこの極楽ゴハン』 たけだみりこ/竹書房
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
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 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
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 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
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