『クッキングパパ』の“あわび丼”を再現!

 今年の干支は馬ですが、当管理人が真っ先に思い浮かんだのは馬刺しで、相方さんはマキバオーでした。
 お互いに関心がある物が如実に現れている気がして、興味深い気持ちになったものです。

 どうも、元旦でもずっと営業するお店が多くて季節感が感じられなくなっているものの、あちこちで流れている「タン♪タタタタタタン♪」とお琴が奏でる和の調べのおかげで正月らしさを実感できた管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて田中君の食べる事が大好きな同期・沢村さんが作った“あわび丼”です!
あわび丼図
 それは、田中君の次男・結輝君が誕生する少し前のお話。
 三十代も半ばに差し掛かった田中君は、某炭火焼屋で開催された金丸産業の同期会に参加し、仕事やプライベートの近況を報告し合います(←初登場時は二十五歳でしたので、一巻の頃からもう十年以上もの歳月が経過していることになります。早いような遅いような、不思議な感覚に陥りますね;)。
 入社した当初は結構いたはずのメンバーも大分減り、残った同期も各地にある支社へ転勤になって散らばったので、今回参加できたのは田中君を含め七人になっており、最初はちょっぴりしんみりした空気が漂っていましたが(←当管理人は早々とリタイアしてしまったので、この空気は未体験のまま;)、小倉支社に勤務している沢村さんが途中参加してくると空気は一変します。
 と言いますのも、沢村さんはラグビー選手みたいながっちりした大柄な体格で、見た目を裏切らずかなりの大食いなのですが、その勢いたるやかつての田中君にも負けるとも劣らないすごさで、おかげで回りは気圧されるやら軽く笑いが起きるやらで、その場の空気は思い出話ムードから健康話ムードに移って行ったからです;。
 どうやらみんな三十代に入ってからは特に健康にを使い始めたようで、「医者から運動しろと言われてさ」「うん、歩くのもいーよ。水泳もいいっつーね」「有酸素運動っていうの!?」「急に激しい運動するのはよくないらしいね」と、お互いの健康話や運動方法について大いに盛り上がり(←知人の方曰く「歳を取った者同士で飲み会をすると、必ず健康の話題が出る!」のだそうで、妙に生々しく感じたのを覚えています)、最終的に「とにかくこれ以上太らないようにしないとな」と話はしめられていました。
 当管理人自身、医師からちょっと気になる検査結果を言われて以来、五年以上前から定期的に検査を受けて健康にも気を付けている為決して他人事ではなく、近い将来こんな風に自然と健康話で盛り上がれるようになるんだな…いいな~と数年後が楽しみになりました。
まるで阿修羅像の如く手と口を動かして食べまくっており、みんな圧倒されていました;
 しかし、沢村さんは「情けねえな~お前らちまちまそんなことばかり気にしてー」「うまい物をバリバリ食う!これが元気の素だろーが!!」とあくまで食欲優先の構えで、かつていい同志だった田中君が「オレもよ、この頃下腹が出てきちまってな…」と食べるのを控え目にしているのを目の当たりすると、「田中、オレは悲しいぞ。何よりも食い意地を優先する!!昔はそうだったじゃないか」「すっかり今の健康志向の風潮に毒されてしまってー」と一気にがっかりします(←確かに夢子さんのおかげで暴食だけはなくなりましたが、田中君は未だにお酒を飲みまくっていますので健康志向にはまだまだ程遠い状態;。なので、良くも悪くも毒されてはいないと思うのですが、田中君は黙って言われるままにしていました;)。
 その後、沢村さんと田中君はたらふく食べて飲んだ後だというのに、何とお寿司屋さんへ行って二人っきりの二次会をするのですが、そこでも沢村さんは馬刺し握りやらトロやらアワビやらを何個も食べ、田中君を呆れさせていました。
 沢村さん曰く、「考えてみろよ、俺たちも三十をとっくに過ぎて人生あともう半分だ。日にするとせいぜい一万から一万五千日くらいなんだぜ。下手すりゃもっとぐっと少ないかもしれない。あと何回旨いものが食えると思う?」「そう思うと、俺は一食たりともおろそかにできない!適当に腹を満たす為だけのもんなどまっぴらごめんだ!」のだそうで、食べ物はみんなどこかしら体にいいのだから気にし過ぎるとかえって健康に悪いと、田中君に力説していました。
 正直、沢村さんの論調には多少行き過ぎな部分があるとは思うものの大体の部分には賛成で、特に「一食たりともおろそかにできない」という主張は、いつ人生が終わるか分からない以上なるべく悔いがないよう好きな物を食べて生きたいと考えている当管理人にとって大いに共感させられました。
 ただ、美味しい物をなるべく長く食べ続ける為には健康な体を維持する事が必要不可欠だと思いますので、沢村さんには健康的な食事の美味しさにも目覚めてもらえたらな~と苦笑しました;。
生きている内に食べられる量はたかがしれているので、好きな物を食べると豪語!
 そんな沢村さんが、話を聞いている内に昔の食欲が蘇ってきた田中君へ数日後の休日に作ってあげたのが、この“あわび丼”です!
 作り方は一見難しそうに見えるものの実は簡単な部類で、下処理をした生のあわびを日本酒でフライパンで蒸し焼きにし、そのフライパンでにんにく・玉ネギ・あわびの肝・塩・醤油・みりんを足して煮詰めて具入りのソースにし、ソースと具とカットしたあわびを丼ご飯の上へドサッと乗せ、最後にカイワレと大根おろしを飾り付けたら出来上がりです。
 なんでも、沢村さんは近頃贅沢な食材を豪快に使った丼を作るのにハマっているらしく、ある時は伊勢海老の天丼(!?)、またある時はフォアグラ丼、またまたある時はステーキ丼など、常識では考えられない度肝を抜くような料理をデジカメにおさめ続けた結果、あわびをドーンと使用する今回のような丼を思い付いたとの事でした。
 あわびをお酒で蒸し焼きにしてステーキっぽく仕立てるのは昔からある技法ですが、バターソースや肝ソースで上品に味付けしたものはあっても、にんにく肝醤油ソースというこの上なく荒々しい味付けにしたあわびステーキの話は見た事も聞いたこともなかったので、初見時は驚いたのを覚えています;。
 ちなみに、作者のうえやまとち先生はこの他にもあわびカツ丼という罰当たりな丼を制作したそうで、この丼を巻末で紹介された時にはさすがに「これもうまかったー。でも、贅沢すぎてあわびがもったいない…」と反省されていました(^^;)。

 こんな味も値段も一級品の丼がまずい訳がなく、田中君は「うほ~っ、すげえっ!」「たまんねーっ!」と目をキラキラさせて平らげており、後々お代わりまでしていました。
 どうやら、田中君の胃袋は三十代もまだまだ元気にフル稼働する事になりそうです;。
そんな田中君に、とびっきり豪快な丼を食べさせようと沢村さんが作った丼です「食」にこだわりすぎるあまり、伊勢海老の天丼、ステーキ丼、フォアグラ丼など製作!
 あわびという高級食材がなかなか身近で見かける事が出来ず諦めかけていたのですが、先日近所の鮮魚店で偶然手に入れる事が出来ましたので再現する事にしました。
 我ながらせっかくのあわびをスパゲティの具にしたり、丼の具にしたりと亜流な使い方ばかりするのにちょっと心が引けていますが、「一体どんな味がするのか」という好奇心を満たす為に早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、あわびの下処理。生のアワビに塩を振ってからタワシでこすり洗いして汚れとぬめりを落とし、しゃもじなどをつかって殻から身と肝を取り出します。
 身についている肝をそっと取り外し(←後で使いますので取っておきます)、赤い口の部分をV字型にカットして切りだし、表裏の両面に包丁で薄く格子状の模様を切り込み、全体にさっと塩を振っておきます。
あわび丼1
あわび丼2
あわび丼3
 次は、焼き作業。
 油を引いて中火に熱したフライパンへ先程のアワビの身を入れて表裏を焼き、両面に軽く焼き目がついたら日本酒をたっぷり注いでフタをし、約十分かけてじっくり煮ます(←二~三回くらいフタを開けてひっくり返します)。
 やがて、日本酒がほぼなくなってあわびもぷっくりと膨らんできたら火を止めて取り出し、食べやすい大きさに切り分けます。
あわび丼4
あわび丼5
あわび丼6
 このフライパンへ、芯を取ってスライスしたにんにくと薄いくし型切りにした玉ネギを投入して火にかけ、少ししんなりしてきたらみりんと醤油を加えて調味します。
 途中、三等分くらいにしたあわびの肝を入れて火を通し、味見をしながら塩で微調整します。
 これで、あわびの身もソースも準備OKです。
 ※あわびの肝には砂が入っている部分がありますので、必ず取り除いてから入れます。
あわび丼7
あわび丼8
あわび丼9
 炊き立てご飯をよそった丼の上へあわびの身、ソースの中で煮た玉ネギ、にんにく、あわびの肝を盛り付けて上からソースを回しかけ、仕上げに汁気を軽くきった大根おろしやカイワレ大根を添えれば“あわび丼”の完成です!
あわび丼10
 海鮮を使った丼というよりは、牛ロース肉を焼いて乗せたかのような迫力があり、一目で「おお~!」と気圧されます。
 あわびが真ん中にドーンと鎮座し、にんにく醤油特有のパンチのある香りをまとった湯気がぶわっと溢れている為、見るからにご馳走!という印象を受けました。 
 正直、あわびを丼にしたことは今までに一度もありませんので罰当たりな気もしますが、どういう味がするのか気になりますので、早速食べて確かめようと思います!
あわび丼11
 それでは、出来立て熱々の内にいざ実食!
 いっただっきま~っす!
あわび丼12


 さて、味はと言いますと…見た目通りがっつりした味で旨し!まるで肉料理みたいに迫力があるのに、案外スルッと頂けるのが特徴的です。
 日本酒でじっくり煮込んだあわびは、生の時からは想像がつかないようなむっちりとした歯が吸い付くような弾力が素晴らしく、噛めば噛む程潮風を思わせる鮮烈な磯の風味が口の中でザザーッと広がります。
 中心部の適度に固くて適度に柔らかい噛み応えが癖になるのは勿論(←例えるとするなら「とびきり歯切れがよくて上質な海のミノ」というイメージです)、回りのひだ部分のコリコリモチモチした程よい歯応え、ヒモのシコシコ感が抜群のアクセントになっていて、味だけでなく食感も大きな魅力の一つとなっていました。
 あわびの肝のほろ苦いエキス、玉ネギとみりんのまろやかな甘味が溶け込んだ煮汁がステーキソースみたいに力強い味付けになって全体に絡み、あわびの美味しさをさらに高めています。
 あわびから薫る潮騒風の香りと、にんにくから漂うスタミナ満点の香りが一歩も譲り合う事なくぶつかりあっている為、かなりこってりした甘辛にんにく醤油味なんですが、あわびから出た奥行きのある旨味成分とミネラルが凝縮されたような塩気が活きているせいか、そんじょそこらの甘辛ダレでは比べ物にならないくらい密度の濃い味わいに仕上がっていました。
 大根おろしの優しい汁気やカイワレのシャープな辛さが後味をさっぱりさせ、ソースの重さを丁度よく中和させているのがとてもバランスがよかったです。


 もっと上品な味になるかと思ってましたが、意外にもステーキ丼に匹敵するような濃い味でしたので驚きました。
 大根おろしのさっぱり感がとってもいい仕事をしていますので、たっぷりご用意してから召し上がる事をおすすめします。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2014.01.13 Mon 16:37  |  男の主張

あんこさん、明けましておめでとうございます(ちょっと遅いですが)。
今年もブログ、楽しみにしています。

大飯喰らいの男としては、沢村さんの意見には賛同する部分も多い
のですが、漫画的に判り易いキャラにするためでしょうが、「極論」に
見える部分も多いのも事実です。あんこさんの仰る通り、ご飯を
モリモリ食べる生活を楽しむには、胃腸や身体の具合を整える事も
必要だな、と年齢を重ねて思う次第です。

また面白いのは、こういった「男の主張」を熱く語った沢村さんが、
後日心惹かれた女性の計らいと、彼女と長く連れ添うためにあっさり
男の主張を撤回してダイエットに勤しむエピソードがある点です。
「好きな女のためには男のプライドなどちり紙の如し」的な描写は
田中君の家に家出した奥さんの旦那さんがやって来て、あっさり
男のプライドを捨てて折れるシーンと同様に共感できますね。

長々失礼しました。では、また~。

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あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
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