『クッキングパパ』の“からしめんこん”を再現!

 先日、戦国漫画ばかりが載っている雑誌を手に取った所、『シグルイ』で有名な山口貴由先生が独自解釈して描いた『桃太郎』が載っていたので一読したのですが、のどかな昔話が一転して『本当は残酷なグ○ム童話』風の仕上がりになっているのを目の当たりにし、思わず「お美事にございまする」と心の中で呟きました;。
 他の日本昔話も、是非このノリで発表してほしいものです。

 どうも、個人的にトラウマになっている絵本のシーンは、従兄弟の家に置いてあった『ジャックとまめのき』に出てきた劇画調の巨人が「こらーっ、待てー!」と絶叫しているシーンの管理人・あんこです(ちなみに、こちらから絵も文もすべて読めます。それにしてもこの巨人、どことなく千原ジュニアさんに似ている気がしますので、そう思えば怖くないかも知れません)。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任が大学時代の旧友・白川拓男さんの為に作った“からしめんこん”です!
からしめんこん図
 それは、荒岩主任がまだ三十四歳くらいだった時の出来事(←ちょうど、みゆきちゃんが虹子さんのお腹の中にいた頃です)。
 博多大学時代によくつるんでいた熊本県出身の友人・白川拓男さんが約四年ぶりに博多へやってくると聞いた荒岩主任は、ある日の夕方、仕事帰りに白川さんと待ち合わせて久々に飲み歩きます。
 白川さんは、荒岩主任曰く「口数少なく、いつもムスッとした顔」「肥後モッコスそのままの頑固者」で一見近寄りがたく見られていたそうですが、何故か若き日の荒岩主任とは気が合ったようで、自然と仲良くなっていったとの事(←肥後モッコスとは、作中の説明によると「熊本人に多いとされている頑固・意地っ張り・偏屈・個人主義の性格の人」を表す言葉なのだとか。なお、津軽じょっぱり土佐のいごっそうと共に日本三大頑固として称されている県民性だそうで、初めて知った時は「三大頑固…聞いただけで裸足で逃げ出したくなる響きだな~;」と苦笑したものです)。
 当時、四畳半一間の本で埋もれているアパートにて暮らしていた白川さんは、荒岩主任が遊びに来ても特に何を話すわけでもなく寡黙だったみたいですが、気が向くとギターを弾いたりと彼なりの歓迎をしてくれ、二人で何時間も無言のままお酒を飲み合っていたと荒岩主任は懐かしそうに思い返していました。
 女同士だと、おしゃべりこそが最高の交流手段であると同時に最上のおつまみであったりする為、会って飲もうものならそれこそ箸が転んだだけで何か爆発したのかと勘違いしそうな程激しく笑い転げて親交を深めるものですが、当管理人にも白川さんのように語らずとも自然に時間を過ごせる知人がいて、その不思議な心地よさも知っていますので、何だか共感したのを覚えています。
大学時代、白川さんと荒岩主任は仲が良く、よく部屋に行っては静かに飲んだとか
 しかし大学を卒業後、舶来品を扱う会社を熊本で興して大成功してからというものの、白川さんの性格や考え方は一変。
 その様子を、四年前に荒岩主任も間近で見ていたのですが、すっかり天狗になった白川さんは派手好みなよくある成金タイプの性格に変わっていて、もはや静かな語らいなど出来ない状態になっており、荒岩主任を閉口させていました(←「女?興味ないね」とでも言いそうな硬派タイプだったのが、クラブでホステスさんの胸を揉んで「金は腐るほどあるとたい、遠慮せんで飲め!」と言うまでに変化したら、そりゃ~面食らうだろうなと思います;)。
 そして現在、同業他社が多く参入してきてかつてのような殿様商売が出来なくなった白川さんは少し落ち着きを取り戻してはいたのですが、一度は支店を持とうとまで考えていた勢いがなくなった事、せっかく博多に来ても豪遊出来ず、屋台でしかお酒を飲めない事に白川さんはやさぐれており、つい酔った勢いで「情けねえなぁ~、飯がラーメンとはな…」「四年前は中州で豪遊していたのが…今夜はラーメンと屋台か。今の俺にぴったりのお似合いコースだぜ。ははは」と失言をしてしまいます。

 それまでは黙って話を聞いていた荒岩主任ですが、どんどん悪い方向へ陥ってしまいそうな考えをする白川さんを黙ってみていられず、とうとうピシャリと「白川っ。俺はそんなつもりでお前をここに連れて来たんじゃないぜっ!!」と言い放って席を立ち、馴染みの屋台の女主人にお願いして台所を借り、その場にあった材料である料理を作ります。
 それが、この“からしめんこん”です!
 作り方は意外と簡単で、下茹でした水気をきった蓮根の穴にほぐした明太子をぎゅうぎゅうに詰め、小麦粉をまぶしてから小麦粉・卵・お水・カレー粉を固めにといて用意した衣を全体につけ、低温の油でさっと揚げたら出来上がりです。
 熊本名物・辛子蓮根だったら辛子味噌を詰めて作る所を、代わりに辛子明太子を詰めて博多風に仕上げた一品で、荒岩主任が言うには「カ~ッと元気が湧いてくる味」だとの事。
 元々、辛子蓮根は生来病弱だった熊本藩藩主・細川忠利(←ちなみに、細川ガラシャの息子さんです)に何とか滋養をつけてもらいたいと考えた藩の賄方・平五郎氏がお坊さんのアドバイスを参考に試行錯誤を繰り返して生み出した料理なのですが、それだけに確かに栄養豊富で、蓮根の持つ造血作用・貧血予防・高血圧予防・便秘改善効果、そして辛子に含まれる食欲増進効果が弱った方に効果てきめんだそうで、まさに今の白川さんにぴったりな差し入れだと感じました。
中州で豪遊していた時代の事ばかり話す白川さんをピシャリと諌める荒岩主任
 辛子蓮根を連想した白川さんは懐かしさのあまり興奮し、すぐに“からしめんこん”をかじるのですが、その時脳裏によみがえったのは十四年前、まだ何も持たないがゆえに自由だった二十歳の頃の自分。
 本を買うのにお金を使い果たしてろくなものを食べられず、荒岩主任から「金か貸すぞ、これで何か食え!」とお金を渡されそうになっても断り、実家から送られてきた辛子蓮根を「いかにも肥後モッコスが作りだした料理だろ、俺好きでなーっ。これさえあれば元気が出る、この二日間これで生きてる」とどこか誇らしげに言いながら、堂々と生きていたかつての自分の姿でした。
 当時の記憶を思い出した白川さんは何とも言えない優しい表情になり、荒岩主任から「お前が儲かっていようがいまいが、俺にはどうだっていいことだ。ただな、中州で豪遊するお前より学生時代のお前の方が俺は好きだったよ」と言われるに至って、やっと「そうだな…あの頃の事を思えば何でも出来るな」「もう一度、一から頑張ってみるぜ!」とやっと本来の自分を取り戻し、元気に熊本へ帰って行っていました。
 均衡感覚を失って駄目な方向へ進もうとする時、言葉はきつくても正直に思いやって忠告してくれる友の存在はとても貴重だと思いますので、このエピソードを読むたび友人のありがたさを実感させられます。
お金がない時、故郷から送られてきた辛子蓮根で飢えをしのいだことを思い出します
 先日、おおぶりで新鮮な蓮根と特売の明太子を手に入れる事が出来ましたので、再現してみる事にしました。
 作中のレシピ欄に乗っている詳細な作り方に沿って、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、蓮根の下準備。蓮根についている泥を清潔なタワシと流水で丁寧に洗い落とし、適当な長さに切ったらお酢を少し入れたお湯で五~六分程度茹で、立てかけるなどして水気をしっかりきります。
 水滴が残ってないか確認したら、蓮根の穴が大きい方をほぐした辛子明太子が入っているボウルへギュッと何度も押し付け、明太子を穴に詰めます。
からしめんこん1
からしめんこん2
からしめんこん3
 穴のてっぺんまで明太子が押しあがってきたら、はみ出た明太子をヘラや手で綺麗に取り除き、蓮根の全面に小麦粉をまぶしてはたいて、さらに小麦粉、卵、お水、カレー粉を混ぜて固めに作った衣をまんべんなくつけます。
 ※衣はゆるいとすぐに垂れてしまいますので、お水を足す時は慎重にした方がいいです。あと、衣に明太子が混ざると焦げやすくなりますので要注意です。
からしめんこん4
からしめんこん5
からしめんこん6
 蓮根にしっかり衣をつけたら、160度に熱した揚げ油へ入れて数分間揚げます(←あんまり長い時間揚げていますと、中の明太子に火が通りすぎてパサパサになりますので、衣が固まったくらいでさっと引き上げるのがコツです)。
 いったん、キッチンペーパーの上へ置いて余分な油をきります。
からしめんこん7
からしめんこん8
 ざっと油を切り終えたら火が通り過ぎない内に包丁で手早く切り分け、お皿へ盛り付ければ“からしめんこん”の完成です!
からしめんこん9
 ほんのりと黄色く香ばしく色づいた衣と、目にも鮮やかなピンク色の明太子のおかげで彩りはよく、思ったよりも華のある仕上がりになりました。
 カレー粉を使っているもののカレーの匂いはそこまで強くなく、明太子の個性が殺されていない感じなのが好印象です。
 大分前から話には聞いていましたが、実際に食べてみるのは生まれて初めてですので、どういう味になっているのかとても楽しみです。
からしめんこん10
 それでは、一切れお箸でつまんでいざ実食!
 いっただっきまーーすっ!


 さて、味はと言いますと…ご飯というよりはお酒のおつまみとして最良の出来!辛子明太子というよりは蓮根が主役の一品です!
 和辛子と味噌を使用した通常のから辛子蓮根は、鼻や頭をツーン!と駆け抜ける刺激的な辛さが特徴的ですが、辛子明太子オンリーのからしめんこんはほんのりピリッとくるくらいのちょうどいい辛さで、その分蓮根本来の素朴な甘味が主張してくるのが印象的でした。
 辛子蓮根との最大の違いは、噛めば噛む程明太子の旨味成分が次から次へとプチプチ弾ける所で、飲兵衛にはたまらない仕上がりです。
 当初はカレー粉入りの衣に「明太子と合うんだろうか…」と不安を抱いていましたが、ふんわり柔らかな口当たりで食べやすい上(←フリッターの衣に似てます)、加熱したカレー粉特有の複雑な香ばしさや後からジワジワくる油分が蓮根と抜群の相性で、癖になりました。
 どの部分を噛んでも「ザクッ」「カリッ」「パリッ」と、まるで採れたてのきゅうりを丸ごとかじっているかのような小気味良い爽やかな食感で、歯に嬉しい感じです。
 明太子の熟成された旨辛さ、魚卵ならではの後引くコクが、食べ進めるごとに蓮根からにじみ出てくる粘り気交じりの瑞々しい汁気とバランスよく絡み合い、しみじみ美味でした。


 明太子&揚げ物なので、見た目によらず結構ボリューム感がある為、たった数切れ食べるだけでもうおなか一杯になります;。
 揚げたては勿論、冷めても美味ですので、お弁当に入れてもいいかもしれません。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2014.01.21 Tue 17:03  |  和製シンデレラ

あんこさん、こんにちは。いつも楽しく拝見しています。

トラウマ、ではないのですが昔話で忘れられないものが
あります。タイトルも失念してしまったのですが、内容は
和製シンデレラで、継母・義姉に虐められる美人の娘が
お殿様に見初められて奥方になり幸せに、という話です。

忘れられないのはラストで、幸せになった娘を見て母と姉が
「『うらやましいなあ、つぶつぶつぶ』と言ってタニシに
なってしまいました」 という一文です。お話はそこで終わる
のですが、とにかく衝撃的でした。母と姉はたしか田んぼに
落ちた上での、↑の展開なのですが、田んぼでうらやましがる
からと言って、突然タニシになってしまう超展開と、
「つぶつぶつぶ」というセリフがタニシらしさを見事に表現
していて、心に強く刻まれています。

いやあ、世の中にはすごい話もあるもですね。
長々失礼しました。では、また〜。

  • #SFo5/nok
  • kawajun
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2014.01.22 Wed 09:59  |  

こんにちは、初めてコメントさせていただきます。

料理作るときの発想源だったり
ちょいと一工夫のためのネタ帳として
いつも見させていただいております。

一つ質問なのですが

週刊少年ジャンプにて連載中の
「食戟のソーマ」はご覧になりましたか
料理研究家と原作者がついての連載漫画ということで
非常に緻密な組み立ての料理が多数出てきます。

少年誌よりは、青年誌などの料理漫画再現の方が
好みなのでしょうか
少し気になりましたのでご質問させていただきます。

  • #61OUSD5Q
  • きのこのこのこ
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プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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