『クッキングパパ』の“きんしゃい屋流かしわレバーの煮つけ”を再現!

 先日、1960年代のロック界で「30才以上の人間は信じるな」という言葉が流布されていたと知り、ちょっとした衝撃を受けました。
 もっと詳しく調べてみると、最初に言ったのは反体制運動の指導者ジェリー・ルービンかボブ・ディランだそうで、明日をも知れぬロッカーらしい反骨精神の台詞という評価があったり、心理学的にもある程度年を取ると柔軟さが失われて自分の生き方以外に不寛容になりやすいのであながち間違いではないという見解の一文があったり、かと思えば「むしろ30歳以下が信用できない」と断言されている方がいたりと、諸説入り乱れていました。
 当管理人自身、あと2年したら30歳になるので他人事ではないのですが、不寛容にならないよう自身を律したいというのが精一杯の結論でした。

 どうも、永井路子先生が書いた歴史小説・『望みしは何ぞ』の中にあった「能信は眼を据えている。ときに三十一歳。みずから賭に乗りだすにふさわしい年齢である」という一文に心震え、何もないのに30歳になったらちょっとした冒険をしたくなっている管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にてきんしゃい屋のママがレバー定食のおまけとして出した“きんしゃい屋流かしわレバーの煮つけ”です!
かしわレバーの煮付け図
 それは、荒岩主任ときんしゃい屋のママがまだ出会ったばかりで、お店の方も開店して半年くらいしか経っていなかった頃の事。
 昼食を食べに行くお店がマンネリ化して飽きを感じてきた田中君が、「何食べようか悩む」と言って迷っているのを聞いた荒岩主任は、お昼時間に田中君、虹子さん、けいこちゃん、そしてちょうど商談に来ていたティートさんを連れ、きんしゃい屋を紹介がてら連れていく事にします(会社から食べに行って帰ってこられる距離のお店はどうしても限られますし、出前のお弁当も同じ料理のローテーションが多かったりで興奮しにくくなりますので、田中君の気持ちはよ~く分かります;)。
 残念ながら入店早々、「へえ~小さくて汚い店だな~」と悪気なく暴言を吐いた田中君は一発でマークされるほど嫌われてしまいましたが(←「この豚バラ煮込みは出来損ないだ、食べられないよ」と言い放った初期の山岡さん並に一緒にご飯を食べたくないキャラですね;)、ごつい男性が好みのママはがっちりした体格のティートさんを一目見るなり惚れ込み、「うち、あんたみたいなでかい外人さん好きた~い。シビレルー」「結婚しようバイッ!!」「よかやんねっ、まだ独りもんやろ!!うちが面倒みちゃるバイ」と積極的に言い寄ります;。
 ただ意外にも、普段は大の字がつくほどの女性好きなティートさんもママは珍しく守備範囲外だったようで、喜ぶどころか「ワッ、ダメ!ワタシ、イタリアニジョールジャートイウ婚約者ガイマース!!」と断固拒否して逃げ回っていました。 
 後に、熊本県出身の小柄な肥後もっこす・白川さんと出会った時は真剣な恋に目覚めたせいか、付き合う前はストレートにぶつかる事は出来なくなっていましたが、この頃は荒岩主任といい、ティートさんといい、好きになると深く考えず一直線にアタックするのが少女のように可愛らしく、微笑ましいです(←今思えば、ティートさんに対する行為はアイドルの追っかけに近い感情だったのかもしれません)。
何と、あの女好きの権化ともいえるティートさんを逃げさせていました;
 さすがに責任を感じたのか、荒岩主任はティートさんを助けるべく「まっまっ、今日は飯を食いに来た訳で」と言ってママを我に返させ、本日のおすすめメニューを聞きます。
 実はこの日、ママは個人的に一押しなレバー定食を日替わり定食のメニューに採用していたみたいで、イマイチぴんときてなかったみんなに「あんたら一人暮らしは滅多にレバーやら食べんやろ?」「レバーは鉄、ビタミン、タンパクの宝庫!!すごく体によかっちゃけん。それにうちのはとってもうまかとよ!」と引き込まれるようなスマイルで宣伝し、結局全員にレバー料理を食べてもらえるよう話をつけます。
 その際、ママがレバー定食を用意する前にサービスとして荒岩主任達に出したのが、この“きんしゃい屋流かしわレバーの煮つけ”です!
 作り方はそこそこ簡単で、醤油・砂糖・お酒・みりん・しょうがを煮たたせた鍋に鶏レバーを入れて火を通してすぐ取り出し、水と里芋を足して弱火で十五分以上煮込んでから再度鶏レバーを戻し入れ、ひと煮立ちさせたら出来上がりです。
 ママ曰く「鶏レバーの味が染み込んだ里芋がメチャうまよっ!」との事で、臭みが少ない鶏のレバーを使用している為、作る手間も大してかからないと説明していました。
 正直、単品として売っても十分お金が取れそうなくらい魅惑的な一品だと思うのですが、それを突き出し代わりに「ほいっ!」と気軽に提供できるママは太っ腹だな~と感心したのを覚えています。
 単価を安く設定しているものの中身が貧相なおかず(場合によっては偽装有)を出されてがっかりさせられるよりは、こういう気前のいいサービスをされた方が少々値が張っても「また行きたい」という気持ちにもなりますし、こういう試みは是非続けて欲しいという一心でお金を落としたくなりますので、ママの姿勢は見習うべきところが多いと思いました。
きんしゃい屋のママが「栄養があるしおいしい!」と一押しするレバー定食!
 幸い、イタリア人のティートさんの口に“きんしゃい屋流かしわレバーの煮つけ”はあったようで、少し怯えながらも「オッ、オイシイデース」と言われていた為、ママの思いが報われてよかったな~と初見時は嬉しく感じた物です。
 その後、メインを作っている時に近所で起こった喧嘩を見る為にママがお店を出ていったり、火にかかったままのフライパンを荒岩主任が慌てて引き継いだりと、ちょっとしたゴタゴタはありましたが;、お料理自体は好評で皆満足しており、後々常連になっていました(メインの“ニラレバとじ”は五年前に再現しましたが、確かに美味しかったです!)。
 それにしても、愛おしのティートさんにはデレデレしながら「ティートちゃんはお金いらないー♡ウフッ」と言っていたのに、慌てて辞退したティートさんにかぶせるようにして田中君が「じゃあ、代わりに俺の分ただに」と名乗り出たのに「ボケッ!警察に突き出すぞ!」と鬼のような形相で怒っていたのには苦笑いで、よっぽど新しく開いたばかりの自慢のお店を小さい&汚い呼ばわりされたのが許せなかったんだろうな~と同情しました(^^;)。
すっかりママに気圧されてしまっているものの、煮物の美味しさは本物らしく頷いてました;
 先日、新鮮な鶏レバーを安く仕入れる事が出来ましたので、再現してみる事にしました。
 作中には詳細なレシピとポイントが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の下準備。鶏レバーは流水でよく洗って血の塊を取り除き、大雑把な血抜きをしてから食べやすい大きさに切って水気をきります(←ママは「鶏のモツは臭みがすくないので血抜きはしなくていいと」と話していましたので、さっと程度の処理にしましたが、徹底的に血抜きされる方は牛乳か烏龍茶を使用される事をお勧めします)。
 里芋は泥を洗い流してから皮を剥き、一口大に切って水に浸しておきます。
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け1
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け2
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け3
 次は、煮込み作業。
 鍋へ醤油を入れて強火にかけ、煮立ってきたらしょうがのスライス、砂糖、お酒、みりんを加え、沸騰したら弱火にして鶏レバーを投入し、落し蓋をして煮ます。
 この時、アクが結構出てきますので、こまめに取り除くのがコツです。
 ※余っていた心臓部分は、別の鍋にて同じ味付けで煮てもおつまみになって美味です。
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け4
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け5
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け6
 鶏レバーに火が通って色づいてきたら、固くならない内にすぐボウルへ一旦取り出して水を足し、里芋を入れて落し蓋をしたら弱火で十五分近くコトコト煮ます。
 里芋の表面に味が染みてきたら、先程の鶏レバーを加えてもうひと煮立ちさせます。
 ※もし時間に余裕がありましたら、一晩放置した方がより味が浸透して美味しくなります。
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け7
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け8
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け9
 里芋と鶏レバーに煮汁の味が絡んだら火を止め、そのまま深さのある器へと盛り付ければ“きんしゃい屋流かしわレバーの煮つけ”の完成です!
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け10
 鶏レバーがちょっとグロイ気もしますが;、全体的に味がよく染みておいしそうです。
 しょうがの香りがきいているとはいえ、鶏レバー特有の濃いめの匂いもしっかりするのですが、新鮮な物を使っている為かえって食欲をそそられました。
 レバーが苦手な方にはともかく、レバー好きの方にはたまらない一品になっていると思いますので、どんな味か楽しみです。
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け11
 それでは、熱い内にいざ実食!
 いっただっきまーすっ!
きんしゃい屋流かしわレバーの煮付け12


 さて、味はと言いますと…ママの言う通り、メチャうま!意外にも、里芋にレバーがよく合います。
 レバーはあっという間に火が通る為、気がつけばガチガチに硬くてボソッとした口当たりになりがちですが、作中にあった通り弱火で煮た後すぐに取り出して仕上げる際に足したせいか、煮物とは思えないくらいしっとりと仕上がっています。
 余熱調理のやり方に似ているせいかレバーから余計な水分が奪われず、クリーミーでプルンと柔らかい食感になっているのがナイスで、ゆっくり噛み締めるとほぐれるというよりはねっとりと濃厚なペースト状になり、まるでレバーパテを食べているみたいな気分になりました。
 まろやかに甘辛いしょうが醤油味の煮汁も、レバーのこってりした味わいと相性ぴったりで、レバー特有の癖を逆に病み付きになる旨さへと見事に生まれ変わらせていました(←居酒屋にあるような「レバーの甘辛煮」を、もっとあっさりさせたような味付けです)。
 一方、里芋は力強い粘りを帯びたホコホコ感が存在感抜群で、レバーの濃い旨味を十分に染み込ませつつも、独特の土気を思わせるどっしりとした素朴な甘味が活きたままだったのが印象に残りました。
 里芋からでた粘りのおかげで煮汁にうっすらとろみがつき、ちょうど葛餡みたいな塩梅でレバーや里芋に絡んでいるのが食べやすくてよかったです。


 レバーに里芋が負けてしまわないか心配でしたが、そんなことは全くなく両方ともちゃんと美味しかったので、ほっとしました。
 冷めても美味しいので、お弁当に入れてもいいんじゃないかな~とも感じました。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2014.02.18 Tue 12:17  |  

クッキングパパの料理は私も作ってます!このブログで紹介された料理はいつも参考にさせていただいています、今回も美味しそうですね~

  • #-
  • URL

2014.02.18 Tue 20:03  |  

これうまそう

  • #-
  • でーぶ
  • URL

2014.06.29 Sun 21:31  |  

この話は、火にかかったままのフライパンを荒岩が慌てて引き継いでいる時に、田中が「主任料理出来るんですか?。」
荒岩「いや、焦げないようにかき混ぜているだけさ。完成したみたいだ」と言って勝手に盛り付けて ママが帰宅した時に「うち、いつの間に作ったっけ?」と言ってましたね。

  • #-
  • ナイトメア
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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
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 …『夢色パティシエール』


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